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第13回桜友会特別フォーラム 井上康生氏の講演

平成29(2017)年11月1日、第13回桜友会特別フォーラムが2000年シドニーオリンピック金メダリスト、全日本柔道男子監督の井上康生氏をお迎えし「2020年東京オリンピックへの挑戦・私の柔道哲学」の表題で催されました。
当日、幅広い年齢層の方々が会場の学習院創立百周年記念会館正堂に集いました。  東園基政桜友会長の開会挨拶で始まり、次に楢原茂子副会長より学習院と柔道の長く深い繋がりについての解説 「明治15年に学習院教授に着任した嘉納治五郎先生(後に教頭や院長代理)は同時期に講道館を創設。翌年より院では柔道が正課となり、有名な「精力善用 自他共栄」に代表される先生の柔道を通じた理想の教育哲学が推進され、今尚受け継がれている」が、なされました。
シドニーオリンピック金メダリストにして、日本柔道が不振に終わったロンドン大会直後に監督に就任。次のリオ大会に於ける巻返し原動力となった井上康生氏のお話を間近に伺いたい、更には東京2020へ向かっての明るい展望を期待する満員の人達の熱気に溢れていました。
興奮の中、いよいよ登壇された井上康生氏。 常勝日本が金メダル0だった2012年ロンドンオリンピック後の監督着任を「屈辱からのスタート」と表現されました。そしてそこから今日に至る迄常に考え実践している3つのテーマ ①目標に対して全力を尽くす ②スポーツを通し強く生きる力を養う ③柔道の最大の目的は社会貢献(嘉納治五郎先生の教え)を明らかにされました。
その上で、日頃重点的に行っている「自己形成」、「強さ」、「伝統と革新」等の項目別強化策に寄せる形で、自身の“柔道哲学”を語って下さいました。
「先ず己を知る、そこから個性を伸ばす」、「変化する勇気と失敗する勇気を持つ、それがチャレンジであり進化に繋がる」、「効率と非効率のバランスを取る、つまり柔剛一体」等々を大いに語って頂き、心に深く響くお話となりました。終わりに東京2020への思いを述べられました。「命懸けで励む選手と日々向き合い、『勝利』は無論使命。だが、ただ勝った負けただけではなく、スポーツを通じて社会の価値あるものへ貢献する事こそが真の目標」この言葉が講演の締め括りとなりました。
その後質疑応答が行われ、東京オリンピック2020に向かっての明るい展望を期待する満員の人達の熱気に満ち溢れる中、会場は感謝と応援を込めた盛大な拍手で井上康生氏をお送りしました。
全般を通し、滲み出る井上氏の真面目な人柄や理性的でありつつも実に心を大切にする姿勢は、学習院の校風と親和性が高いように感じました。嘉納先生の精神が架け橋なのでしょうか。多くの来場者が温かい表情で帰られていたのが印象的でした。