天台座主への登竜門 「戸津説法」説法師に東伏見慈晃師(昭36高)
令和6年8月21日から25日まで東南寺(滋賀県大津市)にて天台宗の伝統行事である戸津説法が執行され、青蓮院門跡門主の東伏見慈晃大僧正(昭36高)が説法師を務めた。戸津説法は天台宗の開祖、伝教大師最澄が比叡山山麓の人々に『法華経』の教えを説法したという故事に由来する行事。この説法師を務めることが天台宗の最高位である座主への必須経歴のため、「天台座主への登竜門」ともされる。
東伏見慈晃師は昭和36年に高等科を卒業し、中央大学法学部に進学。大学卒業後、埼玉銀行に入行。平成5年、50歳の時に出家得度し僧侶となった。その後、叡山学院、大正大学大学院を修了し、平成15年に青蓮院門跡第四十九世門主に就任した。
連日の猛暑日となる中、天台宗関係者のみならず他宗派の僧侶や他宗教関係者をはじめ、多くの檀信徒が師の説法に耳を傾けた。参詣した有馬里佳氏(令5院)は「東伏見様は旧皇族のお血筋であり、元銀行マンという特異なご経歴から仏門に入られた当時のお話が印象深かった。説法でまず説かれたのが「心から仏を信ずる」こと。私自身も神職としてご奉仕するが、まず心から神仏を信じ、道を歩むことから始まることに大変共感した。宗教宗派は違えども、清く正しい「生き方」を問う学びの営みそのものが宗教なるものではないかと思わされた」と語った。