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月例会報告 小川元(おがわはじめ)氏 〜民間大使の5年間

dsc01514平成26年4月10日付月例会

講師  小川元(おがわはじめ)氏

演題  「民間大使の5年間」

略歴

1939年  東京に生まれる

1954年  学習院高等科入学

1961年  学習院大学政経学部卒

同年   三菱商事(株)入社

ブラジル三菱取締役

非鉄金属本部部長代理等歴任

1986年  衆議院議員当選

外務政務次官、衆議院文教常任委員長等歴任

2002年  チリ共和国特命全権大使に就任

2007年  帰国

現在

第一法規出版(株)顧問

自由民主党前議員会理事

日本チリ協会副会長

文化学園大学客員教授

講演概要

本日の講師は1961年(昭和36年)に学習院大学政経学部を卒業された小川元(小川元)

氏で

民間出身の大使としてチリで活躍された5年間を振り返りお話を進められた。

高等科から学習院大学政経学部に進学、川北ゼミに入り憲法について学ばれ、川北先生

からは「法律を読んで素直に解釈する」と教えられたのが印象に残っている。

クラブ活動は、ESSに所属して大学生活を楽しんだ。

その中で奥様と知り合い結婚した。

三菱商事に入社してからブラジルに行くことになりこれが南米とのお付き合いの初めとなりチ

リに行く布石となった。

ブラジルには5年いたが、当時のブラジルは物を売った時の資金の回収等は未だゆっくりして

いた時代で、売掛金回収で三菱商事本社と現地企業との板挟みになって苦労した。

自分は、既存の秩序を破壊して新しいことをやることが信条で仕事に取り組んでいた。

大阪に転勤後しばらくして、1986年の衆議院議員選挙に当選、政治の世界に入ることにな

った。

政治は建前が強調される世界で、特にパフォーマンスも必要とされた。

2001年の選挙で落選し議員を辞めることになった。

その後、当時の杉村外務副大臣から大使の話が寄せられ初代アフガニスタン大使の話等もあ

ったが縁あってチリ大使となった。

チリを知っている人は少なく、NHKの大越キャスターでさえ地球の裏側等とチリの人が聞いた

ら気分を悪くするような表現をしていて気になった。

チリは、地形的には山が多く細長い国で面積は、日本の2倍、人口は1700万人(2006年)でそ

の凡そ1/2が首都のサンチャゴに住んでいる。

GNPは南米では、第1位、貿易額ではメキシコが9位、チリは25位、因みにブラジルは自給自足

型経済の為、貿易額としては小さい国だそうだ。

チリの3Wと言うのをご紹介すると、

Wine   チリのワインは美味で安い。

ワインの世界で後発だが、フランスに次いでイタリーと2位を争っている。

Weather 葡萄の生育に適する気候で自分の出身地である長野県と似ている。

Women  美人が多い、女性が活躍している。

大統領が女性、ミチェル・バチュレ氏はこの3月に就任した。

2006~2010年からの返り咲きで経済成長維持と格差縮小を目指す。

チリ人にとって世界で一番好きな国は日本。

日本との関わりは、日露戦争の時に軍艦を売ってくれたり、1928~29年にかけてチリの

議員団が来日してモアイ像で有名なイースター島の購入話を持って来たこともあった。

近年は、地震や津波で有名になったが日本の民間からの寄付はアメリカを凌いでいた。

その他、鉱山の落盤事故では愛人を取るか奥さんを取るか報道されたことがあった。

その際地下の映像が報道されたのはNTTの技術によるものだった。

又、アニ―タ事件や日本に亡命していたペルーのフジモリ元大統領がチリにやって来たこと等

があげられる。

大使としての仕事では、

①自由貿易協定 TPPオリジナルメンバーで、小泉首相が訪問して来た。

小泉首相は女性にもててチリの女性にも大変魅力的に見えたようだ。

②天文台建設に日本として10年間で300億円を分担した。

③大使の生活は、日本と活動時間が逆で外務省などとの調整が大変だった。

日本国を代表しての活動は大切で、これには三菱商事時代の経験が大変役に立った。

挨拶は、スペイン語で、講演は在任中16回スペイン語で行った。

国民の気質は、生真面目で、お金には執着心が強い。

人生の楽しみ方を知らない人も多く、親しくなって友人になるには10年かかるとも言われて

いる。

時間感覚は、ゆっくりしていて結婚式は20時頃から始まって朝の5時ころまで続く。

日本への輸出は、銅、ワイン、サケマス等。 サケマスは日本の養殖技術が役に立っている。

日本からの輸出は、自動車、鉱山機械等。

ファッションは、実利的なものが好まれているようだ。

因みに南米を見渡すとブラジルは黒人文化の影響を受けており、これに対してアルゼンチンが

南米のヨーロッパと言われるようにヨーロッパの影響を強く受けている。

ペルー、ボリビアは先住民族の影響が見られる。

大使時代のご苦労話を興味深い出来事を交えながらご講演戴き、100名を超す来場者は、飾ら

ないその素晴らしいお人柄に引き付けられ講評裏に終了した。

以上

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