学習院俳句会


(第22回「オール学習院の集い」俳句会最高点句)

学習院俳句会合同句集「岩ひばり」第1句集(昭和31年刊)に寄せられた
   小宮豊隆先生(当時学習院大学教授 文学部長)の序文

 この句集の名前をつけてくれと頼まれた。私は日郎君の「天涯に雲たむろせり岩ひばり」の句が気に入ったから「岩ひばり」を句集の名前にしたらどうかと思った。
 しかし「岩ひばり」といふ言葉を、私は聴いたことがない。それで私は、手近の角川書店の「俳句歳時記」を探してみたが、それには「岩燕」はあるけれど、「岩雲雀」はない。しかもこの句は「岩ひばり」といふよりも「岩つばめ」といった方が、私には遥に適切である気がするし、殊にこの句が気に入った理由も、私の眼は「岩ひばり」と読んでゐたにも拘らず、私の頭はそれを「岩つばめ」と受け取ってゐたせゐであったやうに思ふ。しかし日郎君のこの句は、「ひばり」と「つばめ」と書き誤ったのではなく、事実日郎君は白馬岳で「ひばり」を見たので「つばめ」を見たのではなかったのかも知れない。もしさうだったとすれば、私はこの句集の名前を、一往は「岩ひばり」といふことにして、実際は「岩つばめ」を意味するのだといふことにしてはどうかと思ふ。
 もちろん外の諸君が、そんな無理な名前は困るといふやうだったら、この案は撤回するより仕方がない。
   昭和三十一年十二月十一日      小 宮 豊 隆(原文のまま)

(注)日郎君:岡田日郎(31年大文国) 「山火」主宰 俳人協会副会長

新春俳句会開催

恒例の新春俳句会を平成21年1月24日「ライオン銀座七丁目店」において開催しました。句会には24名が参加、句会後の懇親会では生ビールのジョッキを傾けながら、和気藹々のうちに歓談が尽きませんでした。

☆新春俳句会自選句(順不同)
鶯笛裏参道へ廻るらし山縣輝夫
三寒の素顔四温の薄化粧津端きしを
日輪は真上にありて冬牡丹岩井久美恵
寒釣や立ち姿乗せ堀の舟稲村節子
血圧の数値書き初む手帖かな宇井野洋子
朝ごとの窓に確かむ沖の色江島新子
放映の画面一杯初茜梶本若水
寒昴とどかぬ夢の光りをりくらたけん
しばらくはふくら雀と並ばむか栗林 浩
羹に春蘭加え淑気立つ小西千鶴
乗り換えのアンカレッジ空港雪景色鈴木由紀子
網棚に三つ真赤な福袋鈴木良子
母の胼我の無力を知りし時十河弘子
葱買ひに行かねば暗くなる前に多田野分子
稽古着をつくろいはじむ春隣玉国淑子
魚偏の神も喰ひたり寒九郎筒井カヨコ
牛歩でも地に足つけて初詣中島 泉
赤ベコの描き添えてあり年賀状西川謙子
裏富士の一瞬燃え立つ初日の出二ノ宮浩子
短調に鳴る山畑の虎落笛長谷川子
酒飲んで酒讃へけり鰤大根宮田應孝
初みくじ末は大器と言はれても茂木好夫
去年今年たてに首振る虎張子森下義彦
小寒やつくづく乾き昼の月湯口昌彦

当会創立メンバーの一人成瀬正俊氏(30年大文国「ホトトギス」同人、日本伝統俳句協会元理事)には平成20年4月4日逝去されました。謹んでご冥福をお祈りいたします。

妻恋ひの師の旅立ちも花の頃津端きしを
君を送る犬山城の花吹雪佐藤石松子
城残り遠山すでに陽炎へる佐土井智津子
惜春や「正俊五百句」読み返す稲村節子
酌まんかな白帝城の花の下宮田應孝

長谷川子氏(35年大文イ「馬酔木」同人)の第一句集「野外奏」が20年9月刊行されました。おめでとうございました。

学習院俳句会の活動状況

句 会  毎月1回開催
吟行会  随時開催
「オール学習院の集い」参加  どなたでも参加自由の天幕句会開催
合同句集「岩ひばり」発行(不定期) 平成17年10月 第10句集発行

学習院俳句会は超結社の楽しい句会です。

学習院卒業生で参加ご希望の方は、下記の世話人までご連絡ください。

代表者 津端隆二 (33年大政治)
  総 務 倉田健一 (33年大政治)
  世話人 二ノ宮浩子(33年大文英)
      TEL/FAX 047−343−3812

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