学習院俳句会


(第21回「オール学習院の集い」俳句会最高点句)

学習院俳句会合同句集「岩ひばり」第1句集(昭和31年刊)に寄せられた
   小宮豊隆先生(当時学習院大学教授 文学部長)の序文

 この句集の名前をつけてくれと頼まれた。私は日郎君の「天涯に雲たむろせり岩ひばり」の句が気に入ったから「岩ひばり」を句集の名前にしたらどうかと思った。
 しかし「岩ひばり」といふ言葉を、私は聴いたことがない。それで私は、手近の角川書店の「俳句歳時記」を探してみたが、それには「岩燕」はあるけれど、「岩雲雀」はない。しかもこの句は「岩ひばり」といふよりも「岩つばめ」といった方が、私には遥に適切である気がするし、殊にこの句が気に入った理由も、私の眼は「岩ひばり」と読んでゐたにも拘らず、私の頭はそれを「岩つばめ」と受け取ってゐたせゐであったやうに思ふ。しかし日郎君のこの句は、「ひばり」と「つばめ」と書き誤ったのではなく、事実日郎君は白馬岳で「ひばり」を見たので「つばめ」を見たのではなかったのかも知れない。もしさうだったとすれば、私はこの句集の名前を、一往は「岩ひばり」といふことにして、実際は「岩つばめ」を意味するのだといふことにしてはどうかと思ふ。
 もちろん外の諸君が、そんな無理な名前は困るといふやうだったら、この案は撤回するより仕方がない。
   昭和三十一年十二月十一日      小 宮 豊 隆(原文のまま)

(注)日郎君:岡田日郎(31年大文国) 「山火」主宰 俳人協会副会長

記念俳句会開催

 会員山縣輝夫氏(28大政「ゆく春」主宰)の第2句集「苗木市」刊行を記念して、平成19年10月27日永田町「星陵会館」において特別句会を開催しました。句会には35名が参加。今回は、特に山縣氏および岡田日郎氏(31大文国「山火」主宰)、長嶺千晶氏(57大文仏「ににん」同人)の3氏に特別選者をお願いし、また句会後の懇親会では、岡田氏から学習院俳句会創設の頃の思い出話を伺うなど和気藹々のうちに歓談が尽きませんでした。

特別選者入選句(☆は特選句)
岡田日郎 選
花梨の実所かまわず落ちにけり正展
骨董市の蒼き絵皿や秋澄める祥子
菊の香を残してをりぬ花鋏良子
狭庭にも露けしといふ時間あり祥石
植え置きし山茶花苗木花開く浩子
身の廻り少し片づけ温め酒祥子
後の月鎌倉五山静もれる浩子
助つ人の一日限り晩稲刈る輝夫
五年後は百顆なるべし木守柿
秋の雨ゆつくり列車車庫に入る美津
切り離す二房重き葡萄かな節子
金木犀旅にあるごと目覚めけり千晶
日かげりて苑秋めいてゐたりけり久美恵

長嶺千晶 選
立ち並ぶ白樺白し十三夜日郎
神渡神にも遅速ありにけり輝夫
菊の香を残してをりぬ花鋏良子
揺椅子の軋みも秋の聲ならむ野分子
口笛のかすれは秋思とも違ふきしを
扉を押せば疼きなるらむ木犀香洋子
身の廻り少し片づけ温め酒祥子
助つ人の一日限り晩稲刈る輝夫
骨董市の蒼き絵皿や秋澄める祥子
時雨るるも祝いの席のさんざめく千鶴
錦繍の台湾土産飾る秋ゆかり
懸崖に揃ふ小菊の心意気
静けさに熟るる音あり夜の通草

山縣輝夫 選
揺椅子の軋みも秋の聲ならむ野分子
口笛のかすれは秋思とも違ふきしを
立ち並ぶ白樺白し十三夜日郎
回りても渦にはならぬ菊の風月を
狭庭にも露けしといふ時間あり祥石
輪廻塔回さず月を見てをりぬ純栄
菊日和友老い友の妻も老ゆけん
もう一度満月を見てから寝よう應孝
里芋の土の手につく齢かなゆかり
時雨るるも祝いの席のさんざめく千鶴
零余子飯にいたしましようと鄙の宿若水
姥捨に贄残せしや鵙高音昌彦
切り離す二房重き葡萄かな節子


学習院俳句会の活動状況

句 会  毎月1回開催
吟行会  随時開催
「オール学習院の集い」参加  どなたでも参加自由の天幕句会開催
合同句集「岩ひばり」発行(不定期) 平成17年10月 第10句集発行


学習院俳句会は超結社の楽しい句会です。

学習院卒業生で参加ご希望の方は、下記の世話人までご連絡ください。


代表者 津端隆二 (33年大政治)
  総 務 倉田健一 (33年大政治)
  世話人 二ノ宮浩子(33年大文英)
      TEL/FAX 047−343−3812