学 習 院
血洗の池 整備工事が完了 日本の文化を学ぶ! 女子大学の留学生

学習院広報 平成13年12月1日発行第65号より抜粋

血洗の池 整備工事が完了

 今年の六月より水質浄化と周辺整備のための工事を始めておりました血洗の池ですが、十一月六日に完了し翌日より池周辺の散策ができることとなりました。
 今回の整備工事では、「自然の中の休息と憩いの場としての再生」という整備方針のもと、地下水の枯渇と雨水(泥水)流入等による水質汚濁や、護岸の崩れ等による周辺環境の悪化を改善するために
@池の浚渫(水深約50cmを最大150cmに)
A護岸の整備
B水質浄化装置の設置
C水生植物や地被類等の植栽
D八つ橋(木製)の架橋
E防犯灯の設置などを行うたものです。二、三年後には植栽植物や周辺樹木が繁茂し、より良い環境となることと思われます。

日本の文化を学ぶ! 女子大学の留学生
国際文化交流学部 日本文化学科4年
ナイエール・マフシード(国費留学生)

 学習院の皆様、はじめまして!学習院女子大学の留学生の一人、ナイエール・マフシードと申します。母国はイランで、現在は日本文化を専攻し、あと半年で卒業する予定です。
 皆様ご存知かもしれませんが、学習院女子大学では、様々な国からの留学生が数多く在学し、その数が今七十名にもなっています。その中には私のように、四年間すなわち卒業までいる留学生もいれば、交換留学生として短期間学んでいる学生も数多くいます。

 日本に来てもうすぐ四年になります。来日してすぐ大学に入学した私は、自分の日本での生活は、学習院女子大学で始まったともいえます。一年生の時、目白キャンパスの隣にある留学生寮で暮らしました。この寮では、中国や韓国、台湾などをはじめとして、ロシアやチェコからの留学生も住んでいました。寮での生活がとても楽しかったです。
 日本語補習という授業の宿題として、毎週放送されるテレビドラマ「渡る世間は鬼ばかり」を見て、それについての感想文を書かなければなりませんでした。私はチェコから来ていたカトカと一緒に寮の談話室でこのドラマを見て、感想文を書いたのを今でもよく思い出します。日本語だけの勉強ではなく、日本人の普段の生活と馴染ませてくれるのが日本語補習の先生の目的だったのでしょう。一年生の一年間はあっという間に終わり、私たちは寮を出て別々の場所に住み始めましたが、今でも寮の前を通るととても懐かしく感じられます。
 日本語が上手ではなかった私は、授業で困ったことが沢山ありました。しかし、日本人の友達のお陰で無事に乗り越えられました。今でも日本人の友達の助けに感謝しています。
 色々な授業の中で「香道」がとても興味深かったです。親友のジェニー(ドイツからの留学生)と一緒に受けたこの科目を忘れられません。私とジェニーが香りの区別ができず、授業中このような会話をしていました。「ジェニー、これは何の香り?」と私が聞き、ジェニーが「わからないけど、お寺の匂い!」。これが毎回のように続いていましたが、最後の授業では私はなんと全問題を正しく当てたのです。今でもびっくりです。香道の素晴らしさには感動させられました。ぜひ香道に関する本を買って、イランに持ちかえりたいです。
 私達留学生は、留学生センターのおかげで毎年様々な見学や体験ができるようになっています。今まで、日光や箱根、富士山の旅行に出かけ、それぞれの素晴らしさを身を持って体験することができました。着物の着付けも体験しました。写真を撮って、国に沢山送りました。十二単や雅楽、相撲や歌舞伎の鑑賞にも連れていってもらいました。どうですか、日本人の方々?これらの中で幾つ体験なさったことがありますか?やはり私たち留学生は恵まれています。日本人さえ体験していないことを経験しているからです。
 思い出や学んだことを書き出すときりがありません。もうすぐ学習院女子大学の第一期卒業生ともなる同級の留学生にとっても、この四年間は私と同じように貴重な時間だったことでしょう。この四年間の間に、韓国からのペックさん、イタリアからのヴェロニカさん、中国の呂さんは結婚し、赤ちゃんにも恵まれました。家庭を持ちながらも、一生懸命熱心に勉強する彼女達を見て、私ももっとがんばらないと、といつも励まされます。
 帰国していたジェニーやカトカも、もう一度来日しました。現在カトカは学習院大学で研究生として勉強し、ジェニーは交換留学生としてこれから一年間東京大学で勉強する計画を立てています。私も学習院女子大学を卒業した後、カナダの大学院で国際関係を勉強する予定です。将来はイランに帰って、もちろん日本語も生かしながら働きたいです。カナダへの留学を決意したのは、やはり日本での良い留学体験があったからこそではないかと思います。
 これまで、ジェニーやカトカをはじめ他の交換留学生を迎えてきた私は、今度は彼女たちのように迎えられる側になるのでしょう。しかし、いつかまた絶対に日本に戻ると信じています。彼女たちが戻ってきたように!


国際文化交流学部 日本文化学科1年
チェシルコフスカ・アリツィア
(協定留学生:ポーランド・ワルシャワ大学)

 「よし、この瞬間が私の生活の新しいスタートだ。」と思いながら飛行機から降りて、日本に第一歩をしるしました。これは六ヵ月前のことです。その日、初めてアジアに来たポーランド人の私はちょっと複雑な気持ちをいだいていました。しかし、半年間日本という国で留学生としての生活を送った私は、日本への憧れがさらに増し、満足しています。

 来日した頃、桜の花が咲き誇っていました。初めて満開の桜を見てとても感動しました。特に私の新しい大学、つまり学習院女子大学の桜並木は素晴らしかったです。
こんなに美しい花に感動しながら、新生活に入ったことを嬉しく感じました。しかし、同時に、花の命は、人生と同じく短いということも分かりました。したがって命のある限りは色々なことを経験したほうがいいと思いました。そのためにも日本に留学できて、とても嬉しいです。
 留学とは何かということをよく納得しない学生がときどき不満を述べると聞きました。どうしても自分の留学を大成功させるために、前もって色々考えておきました。やはり、語学の勉強も大事ですが、語学の勉強だけでなく、その言語をとおして外国文化を学ぶことです。留学の基本はココにあると思います。
 もう一つ留学のおかげで分かったことを皆様に伝えたいです。人の生活習慣と文化も国によって違うから、異文化を学ぶ留学生たちは相違点を探します。どうしてもそういう考え方に私は賛成できません。文化が異なっても、そのことを理解するために共通点を探しましょう。どこでも、いつでも、人々には一つの大きな共通点があります。その点に基づいて、生活すれば文化交流を目指す留学は大成功を得られます。色々な友達ができます。人生を楽観的にみることができます。それは心が通うことです。これを忘れないで、今まで留学をがんばってきました。
 学習院女子大学は留学生のために色々な活動や指導をしてくださるので勉強は思ったよりスムーズです。御立派な先生たちは自分の値踏みのできない知識を私たちに分かりやすく伝えてくださるからです。大学の科目の範囲も広いので、自分の専門を中心として、好きな科目を選べました。まず日本語のコースに参加して、大分日本語が進歩しました。言語学面白いゼミも取りました。そして、他の大学にはない伝統文化実習の中から、書道と十二単と茶道のクラスを選んで、日本の文化に触れました。学習院女子大学の留学生センターは勉強の面だけでなく、生活面でも、いつも相談に乗ってもらい、何度も助かりました。だから大学を楽しみながら、色々な文化の行事に参加したり、日本人と一緒に旅行や見物をしたり、外食したりして、日本の文化だけでなく、日本人の生活を学びました。
 また、大学にも、住んでいる寮にも世界中からの留学生が大勢いますので、豊かな国際交流ができます。ヨーロッパから来た私にとって、アジアの学生と共に暮らすことはまったくの異文化に触れることです。また、同じヨーロッパでも国が違えばそれぞれの歴史がありますから、それらを分かり合い、学ぶことができるのは素晴らしい環境といえます。
 今まで初めて見た、初めて経験した、初めて食べた物がたくさんあります。その中から、一番よかったことを報告します。東京を探検してみると、好きなところをいくつか見つけました。地震や台風さえなかったら、賑やかな新宿、静かな上野公園や、伝統を誇る浅草などによく出かけます。東京は世界でも有数の巨大都市で日本の文化、経済、政治などあらゆる活動の中心となっていますから、毎日楽しいです。夏は歌舞伎やバレエを見たり、花火に行ったり、カラオケをしたりしました。もっと足を伸ばして、ディズニーランドにも、そして日光、長野、日本三景の宮島、熊本にも旅行し、種子島にも行って、太平洋で泳ぐ夢もやっと叶えました。日本の食生活も気に入って、よくパクパク一番好きなお寿司と納豆を食べます。
 日本に住んで、日本の文化と生活つまり衣・食・習慣・社会・自然を知れば知るほど好きになります。だからこの夢のような留学はもう思い出だけの中にかすんでしまってほしくないので、ポーランド帰国後も第二の故郷日本を心に刻みます。このことによって将来は日本とポーランドのかけ橋になれることを願って、毎日喜んで努力して頑張っています。