国劇部桜友会

國劇部現役部員と卒業生の歌舞伎公演
日 時平成19年9月15日(土)開場11:30、開演12:00
会 場浅草公会堂
内 容・菅原伝授手習鑑 より 「賀の祝」
・鬼一法眼三略巻 より 「菊畑」
・仮名手本忠臣蔵 より 「七段目」
入場料2,000円
コメント 國劇部は演じることで歌舞伎を深く研究しよう、という趣旨で活動を続けて今年で60周年を迎えます
 現役部員は、年に一度の本公演を行っていますが今年は節目の年なので、卒業生と現役が合同で三幕を上演します。60年前の大先輩から今年の新入生までが世代を超えて熱演致します。
 ぜひ、観にいらして下さい。
問合せ先pxm03705@nifty.com 菱倉真理(s64 史学科卒)

現役公演大盛況

 今年度の現役部員による本公演は、平成15年11月24日にいつもの池袋豊島公会堂で行われた。部員の数が増えたこともあって演しものは「鏡山」の二幕。立派な舞台を見せてくれたので集った先輩諸氏は大喜び、二次会、三次会と遅くまで旧交をあたためた。
 最近は特に、東北、関西、九州など、遠くからの先輩の参加も増えて集まりはいつも大賑わい。昔の話に花が咲くだけでなく、新たに稽古ごとを始めたり、発表会に誘い合ったり、楽しい交流の広がりが進んで、それなりに忙しくなってきた。



日本文化の時代

 例年4月半ばのオール学習院の集いに総会を開くようになって10年以上になる。
 毎回の参加者も増えて、二次会、三次会まで賑わうくらいだから、現役本公演観劇、歌舞伎観賞教室、古典芸能を楽しむ会その他、世代別の有志の集まりもふくめて、かなりの年間行事が「目白」押しである。
 なかでも中断していた稽古事に再挑戦する先輩が多くなったので、古典芸能は花ざかり。まさしく文化の時代到来である。
 21世紀「日本文化」への貢献を目ざして、ますます活発な活 動を続けて行きたい。



 
OB会長のひとこと

学習院国劇部OB会長
園田 榮治
(昭34政)

 素人の、しかも学生が「芝居の真似ごと」をすることにはいささかの抵抗もあった。しかし、「学生歌舞伎是非論」が一流批評家や関係者を交えて、冷やかし半分の新聞種になったりするのにも反発したくなる。
 生意気盛りの昭和20年代の末。ようやく戦後の復興が軌道に乗りはじめた頃だが、日本文化の伝統が全否定されているような風潮は怪しからんとばかり、国劇部に飛び込んだ。
 無人一座で有無を言わさず舞台に駆り出される。刀を差してただ歩くだけで大笑いを取るのには閉口した。以来、邦舞邦楽系のいろいろな稽古ごとを、ほんの少しずつかじりながら今日に至る。
 本物になったものは何一つなくとも、歴史と文化に対する「誇り」だけは人一倍強く持ち続けたいと思う。
 現投諸君が継いでくれている国劇部の伝統もすでに50有余年。うれしい限りである。

平成9年に創部50年を迎えた国劇部。学生歌舞伎の歴史は、数人の学生が抱いた歌舞伎への熱い思いからはじまった!

 江戸時代、出雲大社の巫女阿国が京都で演じた「念仏踊」が発祥といわれる歌舞伎。日本の伝統芸能の集大成である歌舞伎の同好グループを学習院にも作ってみよう。歌舞伎好きな数人の学生のそうした思いが実り、昭和22年6月、「学習院国劇研究会」は生まれた。
 敗戦後ということもあり、西洋文化の優遇色が濃く、日本古来の文化に対しては、封建的で悪いという風潮が世の中に広がっていた。そのため、結成当初は「若いのに変なやつらだ」という目で見られることも多かったという。
 結成当時の学内では、歌舞伎を上演することなどはまったく考えられなかった。そこで、歌舞伎の研究を主眼に置いて活動がはじめられた。
 メンバーの獲得も大切なことであった。研究会としたからには、芝居の話ができる人を集めねばならない。そのため、すでに入会していたメンバーが創会の告知をガリ版刷りで作り、各教室に張り出した。当初はあまり集まらないと考えられていたのだが、10数人が集まり、そのなかには、作家の吉村昭氏(昭24高・大学中退)なども含まれていた。
 メンバーも決まり、学校側に「部」への昇格申請を行ったが却下。すでに演劇部が創部されていたため、同じような部があるのはおかしいという学校側の考えであった。
 そうした中、活動は続けられ、翌23年6月に四谷の初等科で記念すべき第1回公演が行われた。演目は「番町皿屋敷」。資金のあてがなかったため、なるべくお金が掛からない演目をと選ばれた。本番では芝居が一時ストップしたりもしたが、なんとか初めての公演は終了。以後、毎年のように「忠臣蔵」や「三人吉三」などの公演を重ねていった。そうした活動が学校側にも認められ、晴れて「国劇部」へと昇格した。
 また、青山学院大や東大など他校との合同歌舞伎も実現。国劇部は学習院の名物として現在もその歴史を刻み続けている。
 国劇部には、現在も歌舞伎界で活躍しているOBやOGが数多い。創設者の小山觀翁氏をはじめ、坂東彦三郎夫人の坂東生子氏(昭48国)、市川団十郎夫人の堀越希実子氏(昭51仏)、新歌舞伎座の松本清氏(昭54独)、歌舞伎俳優の市川新次氏(昭55哲)、新橋演舞場支配人の武中雅人氏(昭55史)、松竹の岩下雅夫氏(平4法)、原祐道氏(平9日)など、錚々たる人物が名を連ねる。
 国劇部が50周年を迎えた平成9年9月、国立小劇場で「創立50周年記念公演」が行われた。演目は「助六」「伊勢音頭」「一条大蔵譚」「弁慶上使」の4演日。OBと現役部員による公演は、立見が出るほどの大盛会であった。
 また近年は、生涯学習の発展にも積極的だ。平成10年度から学習院生涯学習センターの公開講座開設にも協力し、「江戸文化・古典芸能」をテーマに全10講座を受け持った。観世会部や落語研究会と共同で行ったこれらの講座は、好評を博した。
 創設当初に掲げられた「日本文化の伝承」という使命。それは、いまもOBや現役学生の心の中に息づいている。日本文化への関心が高まりつつあるいま、国劇部の存在意義は今後もますます高まっていくことだろう。