輔仁会美術部の創設は、院史によれば昭和2年とされていますが、その前身の桜虹会が明治36年頃の創設とありますから、その歴史は 100年前に遡り、大正期には文学者、美術家による白樺運動を興し、日本に初めて後期印象派等の西洋美術を紹介するなど、わが国美術界に大きな足跡を遺しています。この秋に移転が決まつたアトリエは、昭和6年の竣工ですから、旧アトリエは70年近くに渡って我々の活動の場であったわけです。
戦後、学習院の整備拡充に伴い、卒業部員数も大幅に増え、OB・OGを束ねることも困難となりましたが、昨年暮れ、新たに「桜美会」の名称の下に1100名に及ぶ卒業部員組織が再編されたことは喜ばしいことです。当面は財政面の制約から、院内に会場をお借りして年1回のOB現役合同展を開催してゆく予定ですが、やがては昭和46年の第14回を最後に中断した「オール学習院美術展」を復活再開させることを念願しています。美術制作の醍醐味は、題材と向き合い、個々人の感性と技量によって作品を完成させてゆく喜びにありましょう。卒業生の個展やグループ展も年々大変盛んであります。「桜美会」が、学習院の文化活動の中核として益々充実発展してゆくことを心から願っております。 |