平成15年5月1日発行第82号より抜粋

学習院創立125周年記念式典

2002年度 新日鉄音楽賞特別賞 受賞報告

第17回 オール学習院の集い

新刊紹介


伝統と使命の重さを再確認
・・・ご入学時懐かしむ天皇陛下のおことばをいただく・・・
学習院創立125周年記念式典

 学習院創立百二十五周年記念式典は平成十四年十二月十三日、創立百周年記念会館正堂に天皇皇后両陛下をお迎えして開催されました。学習院の伝統と将来に向けての使命の重さを出席者一同の心にあらためて刻みつけました。
 この日、国旗と院旗が掲げられた正堂のステージには雅楽演奏用の太鼓一対が置かれて華やかさを添え、桜友会員ら八百余人の出席者が待ち受けるなか、定刻の午後二時に天皇皇后両陛下、清子内親王殿下、寛仁親王・同妃両殿下が壇上の席に着かれて式典の幕が開きました。
 冒頭の式辞で田島義博院長は「百二十五年間の学習院を貫いて流れるもの、それは物質的富貴や個人的栄達を超越した論理的価値観である」と所信を述べ、「世界平和と人類の幸福のために奉仕する人材の育成」に教職員一同が遭進することを誓いました。
 天皇陛下は初等科に入学された昭和十五年当時、「竣エなった真新しい校舎で"サイタ サイタ サクラガサイタ"と先生が教科書を読まれた光景は、今も目に浮かびます」と一同に親しく語りかけられ、「今後、わが国が自国の安寧を保ちつつ、世界の平和と人類の福祉にさらに貢献していくために、学習院から国の内外において様々な分野で活躍する多くの人々が送り出されていくことを期待しております。この機会に、関係者一同が本院の歴史を振り返り、将来に向かって、教育に、また研究に、一層力を尽されるよう望んでやみません」とおことばを結ばれました。
 遠山敦子・文部科学相、奥島孝康・全私学連合代表に続いて、卒業生代表の亀井泓・桜友会会長が祝辞に立ち、「先人方が築きあげられた誇るべき伝統と文化を後輩諸君にしっかりと伝えるとともに、さらに新しい時代に相応しい息吹を加えることこそが、私ども卒業生の使命である」と述べ、「卒業生の英知を結集し、母校のさらなる発展のために一同相携えて尽力していくことを心に期しております」と力強く決意を表明しました。
 早川浩・父母代表の祝辞に続いて、輔仁会音楽部の伴奏による院歌斉唱の後に両陛下はじめ皇族方がご退場、式典は滞りなく終わりました。
 休憩後、東京楽所および十二音会による雅楽演奏が披露され、雅やかな音色と華やかな衣装を付けた舞に出席者一同時の立つのも忘れて魅了されました。

 学習院は弘化四年(一八四七年)公家の学問所として京都に開設されました。百二十五周年は東京・神田錦町の華族学校の開業式で、明治天皇が京都の故事を引いて新たに学習院と命名された明治十年(一八七七年)からの年数です。


式典後の雅楽演奏


2002年度 新日鉄音楽賞特別賞 受賞報告
杉  理 一

 受賞報告とは、自慢話をするようで厚かましく気恥ずかしいのですが、この苦しい経済状況の中、芸術文化振興のために賞を出して応援している企業があることは今の日本では大変珍しいことなどで、それを少しでも多くの人に知ってもらえるならと考えたのです。
 それに、この受賞は沢山の方達の支援があって初めて可能となったので、この場を借り、桜友会の皆さんを含めた多くの方々に心から御礼申し上げ、受賞の喜びを分かち合いたいと思ったのです。

 新日鉄音楽賞は、一九九〇年、新日本製鐵株式会社が創立二〇周年記念と同社提供の「新日鉄コンサート」放送三五周年を記念して創設した賞で、将来を期待される優れたアーティストに贈る「フレッシュ・アーティスト賞」とクラシック音楽界で音楽文化の発展に大きく貢献した人に贈る「特別賞」とがあり、毎年、各一人が選出されます。今年のフレッシュ賞は19才の新進ピアニスト小菅優さんでした。
 私の授賞理由は「&quto;少ない予算でも上質のオペラを"の理念のもと、ニュー・オペラプロダクションを設立、周囲の協力を得ながら私財を投じてまで殆どひとりで運営。多くの意欲的なオペラ公演の製作、若手歌手の育成、字幕監修等に積極的に取り組み、日本のオペラ界に大きく貢献している熱意と実績を高く評価した」と。
 こう書かれていても、普段、オペラ界と余り関係のない方にはピンとこないかも知れませんから、私が今迄にやって来たことをざっと書き連ねてみます。
 私は昭和29年、学習院大学政経学部政治学科の第2回卒業生です。その後、日活株式会社宣伝部に3年半在籍し、在校当時から大好きだった音楽の仕事に係わりたく、NHKへ転職。幸運にも、早速、NHKが招待したイタリア歌劇公演の裏方スタッフに組み入れられ、世界一流の大歌手、マリオ・デル・モナコ、テパルディ、シミオナート、ゴッピ等の舞台監督や演出助手を経験することになり、すっかりオペラの魅力に取りつかれました。
 その後、音楽部のテレビ・ディレクターとして数々のオペラ番組、リサイタル番組、構成番組を演出、放送しました。
 「音楽会をどうぞ」「夜のコンサート」「音楽は世界をめぐる」「世界の音楽」「音楽の広場」「ニューイヤー・オペラコンサート」「名曲のアルバム」等々。しかし、私の得意分野はオペラ番組でテレビ・スタジオのオペラや世界一流歌劇場来日公演の中継など数えきれないほど放送し、その三年後には文楽人形オペラ「鳴神」でグランプリを受賞しました。
 ザルツブルクで行われるテレビ・オペラの国際コンクールには一九七一年、企画演出したオペラ「死神」を出品し2位受賞しました。
 また、在職中から、数々の市民オペラの演出を手がけ、25年間、二期会の研究生に演技を教えに通いもしました。
 一九八七年、NHKを定年退職。その後、オペラやコンサートのプロデュース、演出、字幕監督を手がけるニュー・オペラ・プロダクションを設立。毎年1回の定期公演では「カルメン法廷」「セビリアの理髪師」「耳なし芳一」、文楽人形オペラ「鳴神」、森公美子主演の「泥棒とオールドミス」「おこんじょうるり」「道化師」「カヴァレリア・ルスティカーナ」等を上演。そして、昨年は舞台芸術創造フェスティバルに参加、東京文化会館で「耳なし芳一」を公演して大変な好評を得、ほっとしました。
 その他、市民オペラの助っ人として、藤沢、神戸、京都、松江、長岡、鹿児島、奄美大島、水戸、三重等で活躍。オペラ初体験の小学生からご年配までの幅広い方々から寄せられる沢山の感謝と感激の反響が何よりの励みです。
 コンサートでもオペラ歌手の出演が殆どで、トップクラスの顔触れを集めた「ジロー賞記念コンサート」を二度、韓国歌手を招待しての、或いはアメリカでの公演など文化交流コンサートも数回プロデュース。4か月毎に優秀な歌手を紹介するNOP(ノップ)コンサートでは既に60人もの素晴らしい歌手達に出演してもらっています。
 字幕監修も放送や映像用の他、世界一流歌劇場の引越し公演や新国立劇場の字幕もしばしば担当しています。
 しかし、このような芸術文化の仕事は社会的理解が得難く孤立無援のことが多くて、いつも多額の借金を背負い込み四苦八苦して来ましたが、このように心の豊かさに係わることが軽視される社会では益々、世相が荒んで行くばかり、私としては力の続く限り頑張らなければなるまいなあと考えている昨今です。
 未だNOPをご存じない桜友会の皆さんには是非一度、コンサートにでもお出かけいただきたいと思います。ご自分の人生をより心豊かなものにするために。
 最後に、ちょっと、コマーシャルを。ご関心ある方はお電話でご一報下さい。
次回のコンサートは5月29日(木)午後6時半、銀座松屋デパート前の十字屋サロンでです。友の会や後援会組織もあります。 電話 03-3328-0817/FAX 03-3328-0655


杉 理一(すぎ のりかず)
昭和29年政経学部政治学科卒
オペラ、コンサート制作者、演出家、字幕監修者
有限会社 ニュー・オペラ・プロダクション 代表取締役
杉オペラ演技研究所所長


第17回 オール学習院の集い開催

門衛に 挙手返しけり 春の風 宮田應孝(俳句の会)

 「第17回オール学習院の集い」は新緑を背景にしだれ桜・八重桜・右近の桜などが咲き乱れる中、記念会館正堂で朝10時に田島義博院長、小野田博桜友会副会長の挨拶をもって開会され、当日は好天にも恵まれて、八千三百名の人出で目白の杜は午後4時の閉会まで終日にぎわいました。
 今年は大道芸のパフォーマンスや新潟県「湯之谷村」からの郷土物産展やミニ田植えのイベントなどの新企画もあり、来場者は楽しい一日を過していました。
 チャリティ・ラッフルの益金は亀井泓桜友会会長より(財)アイメイト協会へ贈呈されました。



新刊紹介
編著・ブロッケン山の妖魔 久野豊彦傑作選
編者・嶋田 厚(29政)
   発行所・工作舎
   定価2800円

 川端康成に"不思議な才能だね"と云わしめた大正末から昭和初頭にかけて彗星のごとく輝き、去っていった天才作家久野豊彦の代表作品がユニークな造本の中に収められている。
 その魅力をいまに伝えたいと願う編著の愛情があふれたモダニズム文学の再現。

著書・家族の時間
著者・佐伯 裕子(45国)
     発行所・北冬舎
     定価1600円

 雑誌「清流」に載せられたエッセイをまとめたもの。
 ふと浮びあがって来る些細な出来事が愛しく思われてならなかった。何か、一瞬の匂いや、めまいに似た光線のようなものを描き出したかった。(著者・あとがき)

著書・MBA社長の実践 「社会人勉強心得帖」
著者・山田 修(50国修)
   発行所・プレジデント社
   定価1300円

 学生時代からビジネス社会で活躍するに至る30年の間、学校や通信教育によって知的好奇心を満たし、キャリアアップを図ってきた著者の体験をもとにした社会人のための勉強心得をまとめたもの。(出版社コメント)

著書・昔話ふるさとへの旅 −走った走った1万キロ−
著者・國貞 五郎(42経)
    共著・村上 恵子

    発行所・壮神社
    定価1200円

 昔話の生命である語り手の生の声を日本全国をまわって収録しCD化した著者がその折の記録を本にしたもの。「昔話」が21世紀へと語り継がれてほしいという思いが込められている。

著書・夢さがし エトセトラ ひと足先に道を選んだ 30人からのメッセージ
著者・菅原 亜樹子(56国)
   真船 貴代子(53物)

   発行所・エトセトラ・デュオ
   発売・紀伊国屋書店
   定価1500円

 母親として子供の疑問にこたえるために、さまざまな分野で活躍している人に会って、仕事を選んだわけ、やりがいを感じる時、などについてお聞きしました。(あとがきから)

著書・莫作(まくさ)
著者・石河 利昌(20高 元桜友会事務長)
    発行所・ぶん化アカデミー
    頒価2500円

 短歌に関心を持ち始めたのは昭和16年の夏であった。と記す著者の「第一歌集」
 終戦の一日を詠んだ句から、家族・自然・自らの思いを込めた句まで作者のひとがらをしのばせる作品が収められている。

著書・もーイヤだ、こんな会社辞めてやる!
著者・山崎 修(54化)

 個人にとって「幸せに仕事をする」というのはどのようなことなのかを、豊富な実例を見ながら読者と一緒に考える書。
 ソニーの井深大さん、ワタミの渡邉美樹さん、キノコのホクトの水野正幸さん、カレーハウスCoCo壱番屋の宗次徳二さんなど著者がインタビューした多数の創業者が登場。

訳書・プライベートピア 集合住宅による私的政府の誕生
著者・エヴァン・マッケンジー
    訳者・竹井 隆人(平3政)
    共訳者・梶浦 恒男

    発行所・世界思想社
    定価2300円

 わが国では都市再生やまちづくりの上で、ゆきすぎた私権がそれを阻むもととなっているが本書の理念はこの面でも示唆を与えるものとなろう。(訳者あとがき)



PDFファイル 17.5KB 各部行事予定(2003/5〜)。このPDFを見るためにはアクロバットリーダー4.0以上のバージョンが必要です。最新のアクロバットリーダーはアドビ社のウェブサイトからダウンロードできます。