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第21回経済学部会講演会

第21回
経済学部会
講演会
グローバル化時代の日米経済関係
柳井 俊二(31高卒)前駐米大使
平成14年11月18日(月)於 記念会館

 ブッシュが勝って、民主党から共和党に政権が交代した。クリントンが半分敵の様な中国に行きながら、日本には寄らなかったのとちがい、ブッシュは同盟国を大事にする。経済問題で、クリントンは減税をしろと非常に立ち入った事を言ったので、株価が下落する等して、迷惑した。ブッシュは面と向かっては言うが公の場では批判しない。

9・11事件の影響

 米国人にとってのショックは大変なもので、最初に言ったのは「これはパールハーバーだ!!」という言葉だ。経済の中枢のニューヨーク、軍事・政治の中枢のワシントンやペンタゴンまでやられ、そのショックたるや大変なことだった。民主党・共和党は選挙で大喧嘩したが、この一件で挙国一致体制ができ上った。正に、テロリストは虎の尾を踏んだ。軍事予算は議会の方から、要求した予算より上乗せして400億ドルつけた。航空業界救済の為、これも議会の方が率先して150億ドルつけた。湾岸戦争の時に日本は130億ドル出したが米国にも世界にも評価されなかった。今度は世界に日の丸を見せねばならない。

気体の様な米国・流体の日本

 米国は非常に好調で、昨年まで120ヶ月・10年間成長続けた。米国の歴史上初めての事だろう。
昨年3月マイナスとなったが回復しかけた。そこへ事件が起こり、大分冷え込んだ。日本は不動産バブルだが、米国は株式バブルであり深刻な影響はない。米国の強さは、小変化が柔軟にできることだ。会社が儲からなくなったら売り払って、人も金もバラバラになり、全く別のものを創造し始める。米国は気体の様に分子がバラバラになる様にどこにでも行き技術と資本を集めて、新しいものがどんどん出てくる。色々な人種がおり、いろんなアイデアを持ち寄ってくる。底力は全然失われていない。日本は液体国家で、若干分子が動くが、ネバネバしていて、なかなか変わらない。ちなみに固体国家はソ連経済で、コチンコチンでどうにもならない。結局崩壊した。日本のバブル経済が盛んで、貿易摩擦が激しかったが、この10年で互の関係は良くなった。米国が長期成長で余裕があり、日本が自由化して米国から物を買うようになり、日本の直接投資が非常に盛んになったからだ。

 直接投資は工場を持って行き、米国で雇用を増やした。直接投資は貿易摩擦を相当解消した。50州のうち49州に日本の直接投資がある。投資をすると何十年も人が住み腰を下ろしてじっくりやるから、文化交流的なものが進む。日本もグローバル化時代だから、頭を切り替えて、米国から投資を誘致すべきだ。

 最後に、我が母校・学習院に大いに期待している。我々は、高等科の時に仏語・独語も選択できた。語学は小さい時からやり、一貫教育で、入学試験で余計なエネルギーは不要だ。外国の学校と交流し、グローバル化時代に役に立つ日本人が欲しい。
(文責 江島・南坊)

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