平成13年12月1日発行第79号より抜粋

タイ王国王女殿下に学習院大学名誉博士号、
学習院栄誉章および桜友会特別会員証贈呈

留学生になるのにフラフラ

桜友会海外留学研修の応募締切は、間近です!!

新刊紹介


タイ王国王女殿下に学習院大学名誉博士号、
 学習院栄誉章および桜友会特別会員証贈呈

 平成13年9月19日(水)1時15分より秋篠宮同妃両殿下をお迎えして学習院創立百周年記念会館正堂において、タイ王国マハー・チャックリー・シリントーン王女殿下へ王女殿下の経済や情報技術関連の研究、実践の功績をたたえ学習院大学名誉博士号(経営学)が贈呈され同時に学習院栄誉章および桜友会特別会員証が贈呈されました。
 タイの民族衣装を着た方、留学生、タイのテレビ等の報道関係者が来訪し、取材しておりました会場には在学生、草刈副会長を始め桜友会会員など多数の方々が出席され満員の盛況でした。
 式は開会の辞に始まり内野経営学研究科委員長による王女殿下のご紹介が行われ、王女殿下は言語学、芸術、歴史、教育、医療、食糧問題、宇宙開発など幅広い分野で研究および実践活動され、その業績は内外から高い評価をうけており、既に諸外国の大学から文学、教育、法学等数々の名誉博士号を授与されている事を紹介。
 続いて小倉大学長より名誉博士号の贈呈、島津院長より学習院栄誉章の贈呈が行われました。王女殿下は受け取られた栄誉章を直ちに自ら首にかけられ会場からは拍手が沸き起こりました。
 引き続き王女殿下のご講演が英語で行われました。王女殿下はたびたび日本をご訪問になっており、日本との結びつき友好関係には歴史があり、皇室と親しくおつき合いをされておられること。多くの大字、各種研究施設、身障者のリハビリ施設等をご見学、自国の農業技術の向上、世界の食糧問題に関心を持たれ努力されておられる事をお話になりました。
 最後に桜友会特別会員としては6人目になる桜友会特別会員証が賀陽治憲桜友会会長より贈呈されました。賀陽会長は特別会員証を手渡されるにあたり「王女殿下の経済および情報技術に関する研究、業績に閲し、名誉博士号、栄誉章が贈呈され、私達桜友会も大きな喜びです。また桜友会会員が貴国に留学し、暖かいおもてなし受けている事に感謝致し、全ての卒業生の名誉と致します。」と結ばれました。


留学生になるのにフラフラ
桜友会スカラーシップ第4回生 牧野元紀


1997年3月 学習院大学文学部史学科卒業
1999年3月 東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了、同大学院研究科博士課程在籍
2000年10月よりパリ第7大学に留学

 10月。長いヴァカンスが終わりました。博士論文の資料収集のために通い続けている文書館への道すがら、色褪せた落葉に季節を感じます。留学先のパリ第VII大学の登録も先日より始まりました。学生登録の終了後には警察署に行き、滞在許可証の発行手続きが待っています。フランスは日本人が旅行する際には困難が少ないかと思われますが、学生が居住するには煩雑な手続きと忍耐が要求され、意外なほどに苦労します。今回はこの件に関する報告とフランスにおける最近の日本の若者文化の受容についての雑感を記したいと思います。

 パリ市内の外国人留学生はセーヌ左岸15区にある警察署の学生窓口のみで滞在許可証の申請をしなくてはなりません。この警察署は午前8時半の開門ですが、午前10時頃の到着で外にはすでに500人ほどの行列ができています。新学期のはじまるこの時期はとくに学生が殺到するのです。待ちつづけること3時間、あと5mほどで入り口に至ろうとしていたのですが、突然に門が閉ざされてしまいました。周囲に悲鳴と怒号が飛び交います。あまりに多くの学生が詰めかけているために当局が時間内でさばけないと判断したのです。どうやらこの締め出しは毎日のことらしく、パンフレットに記載されている午後4時というのは受付時間を意味するのではなく、単に業務の終了時間を意味するとのことでした。留学生活を終えた先輩が「フランスにいると我慢強くなる、あるいは諦めがよくなるものだ」と渡仏前に忠告してくれたことを思い出 します・・・C'est la vie!
 気を入れ直して翌日、午前5時に自宅を出発、到着は6時でしたが、すでに100人ほどが列をなしています。私が乗ったのは地下鉄の始発でしたから彼らのなかにはおそらく徹夜組もいたのでしょう。はたして開門後も列は遅々として進まず、10時頃にようやく順番がまわってきました。直前で割込みをする不逞の輩もいますが、ここで関わり合いをもっても余計 な消耗をしてしまうだけです。中で待つことさらに3時間、書類の審査が終わって、パスポートにようやく許可証が貼付されました。この日はなんと8時間を要し、前日とトータルで11時間を費やしたことになります。この間、村上春樹の分厚い文庫本を一冊読み終えました。じつに長い一日でした。
 さて村上春樹といえば、著作数点が翻訳されて、こちらでも若い世代を中心に注目を集めはじめているのをご存知の方も少なくないかと思います。ただやはり近年フランスの若年層の関心を最大に集めている日本文化の代表例といえば、とりもなおさず、MANGA(漫画)であり、J-POPSと総称される若者向け歌謡曲のようです。とくに前者は年々支持層を拡大し、かつ多様化しつつあります。
 実際、私自身が少年時代に接した漫画の多くはこちらの同年代の学生とはすでに共通体験となっています。いまの子供達はポケモンやプレステに夢中です。宮崎駿監督の作品は毎年劇場公開され、やはり確固とした人気を集めています。音楽ではビジュアル系などのファン年齢層は日本と重なり合っています。パリ市内バスティーユ界隈には驚いたことに、これらの関連グッズを扱う専門店がすでに10数軒確認されています。
 サブカルチャーとして軽視されている感も依然否めませんが、実際にはこれを糸口として日本文化へのさらなる興味、本格的探求へいきつく人々も少なくありません。三島や川端などの日本文学を研究する大学の知り合いの多くは子供の頃より均しくMANGAの洗礼を受けています。
 現代日本が産み出したこうした文化と社会現象を説明する機会は、海外で生活する日本人にとってますます増えてきていることと思います。個人的には従来の伝統文化の説明をするよりも、むしろ実体験に基づく理解の共通基盤があるだけに、壁を感じることなく自然体で語り合える楽しさがあります。他の国、地域の若者達はいかがでしょうか。


桜友会海外留学研修の応募締切は、間近です!!

 桜友会海外留学研究制度も本年で、5年目を迎え本制度をご利用して、海外研修をされた方々も24名となりました。
 返送が事務局に送られてくる度、役員一同大きな期待と、少しの心配を感じつつ、読ませていただいております。
 ご存知の通り、本制度は従来の留学制度が外国の特に西欧社会の文化・芸術・学問を、一方的に吸収することを目的としていたの対し、日本の伝統文化美術を、諸外国で自らの言葉で語られる方を一つの選考基準としております。
 外国での生活を通して、異文化をはだで感じ、慣習にも触れることにより祖国日本に関しての見方も変わってくるかも知れません。
 これこそ、真の国際化であり、地球人としての第一歩であると考えております。学生、大学院生、社会人、そして主婦の方々、すべてが応募できます。
締切は、12月末日、応募要領パンフレットは事務局にございます。
締切・・平成13年12月31日
対象・・桜友会正会員の方ならどなたでも
考査・・面接および論文(テーマは後日通知します)
 スカラーシップ・1年以上の留学研修 50万円
 フェローシップ・短期研修、諸会議出席等 30万円以下

お問い合わせ 桜友会事務局
TEL 03-3988-3288
FAX 03-3988-3853
E-mail 
oukai1@gakushuin.ac.jp

新刊紹介
著書・世界史の中の出島
著者・森岡美子(女子中・高教諭)
   発行所 長崎文献社
   定価1500円+税

 安土桃山、江戸初期、考える以上にヨーロッパ諸国との交流があった。鎖国時代へ移行し行く中での出島の役割を明らかにしたもの。

著書・アルファベット表記 外国語識別辞典
編集・製作・専修大学教授 石川敏男(30大文)

 何語か解らないアルファベット表記の語を検索し、手間を省く。

著書・源頼朝−鎌倉殿誕生
著者・関幸彦(50史)
   発行所 PHP新書
   定価660円+税

 源平の争乱から奥州合戦に至る内乱期の十年を知り、武家政権を確立した頼朝の実像に迫る。

著書・ヘタな人生論より イソップ物語
著者・植西聰(44経)(50法)
    発行所 (株)河出書房新社
    定価1400円+税

 厚生労働省認定の産業カウンセラーが説く大人の知恵が満載されている。

著書・恋を逃がす女の口ぐせ
監修・福田健、近藤すみれ(59哲)共著
   発行所 (株)青樹社
   定価1400円+税

 話し方教室研究所所長の監修による幸せのつかみ方

著書・おじいちゃん 日本のことを教えて
著者・中條高徳(27政)
   発行所 致知出版社
   定価1400円+税

 アメリカの高校に通う孫娘と世代を超えた対話にほのぼのとした温もりを感じる。往復書簡

著書・人を見抜く技術
著者・山田修(50国修)
    発行所 (株)講談社
    定価1300円+税

 37歳にして外資系の雇われ社長の地位を与えられた後、今日迄三ヶ国の日本法人を任された著者が説く洞察力とは。

著書・2001、夫婦の桜
著者・夫婦の桜を植える会編
    発行所 関西読書人倶楽部

 日本人の心を後世に伝えるべく桜を通して大和魂、家族の絆、家庭の有り様を伝えようと自負。

著書・分数ができない子ども 敬語が使えない親
著者・小山泰生(53高)
    発行所 文芸社
    定価1500円+税

 皇太子殿下ご学友の著者が、学習院の良き伝統・文化を通して人間形成における幼児教育の大切さを説く。新世代の教育論。

著書・七ッ葉のクローバー
著者・三谷恵子(57史)
    発行所 らくだ出版
    定価1500円+税

 やさしい口語体でさりげない日常生活の中にある情景を綴った詩集。

著書・のらねこデペソ 交換ノート
著者・足立和香子(平5国)
絵・くんくん堂ぬり絵
    発行所 知玄舎
    発売元 星雲社
定価1200円+税

 オマエが今日楽しかったことは・・・、のら猫デペソの語り口が愉快、三児の母が子供たちの為に書いた本。絵も楽しい。

著名・神風の武士像 蒙古合戦の真実
著者・関幸彦(50史)
    発行所 吉川弘文館
    定価1700円+税

 「神風」と「神国思想」が後世に及ぼした影響、中世武士の誕生を史実と伝説の中に考える。 歴史文化ライブラリー