テロ事件とグローバリゼーション
グローバリゼーションは、人・物・金が国境を越えて活発に動く状態を言う。昨今、この言葉が安易に使われ過ぎているきらいがある。19世紀末の方が、今よりグローバルな時代であって、例えば海外投資等は、本国対植民地という相違はあるが、当時の方が活発だった。一方、米国の今までのグローバリゼーションと称するのは、米国の支配、米国を中心とするものであった。テロはこれに対し、大きな疑問を投げかけた。米国の独り善がりに、非常に極端な形で反動が示されたものと思う。米国は一人では戦えないので中国、ロシア、パキスタンまでも巻き込む形で包囲網を作って、米国を中心とする反テロのネットワークができつつある。これはある意味で、米国の独り善がりが修正されつつあるのかもしれない。
背後にパレスチナ問題があるとすればそれに対して、最大の責任を負うべきは英国である。世界大戦中、ある土地をユダヤ人にはあなたのものと言い、アラブ人にはアラブ人のものと言った。それがイスラエルという国を造った。世界には、パレスチナ問題のほか、貧富の差の問題、地域的問題、資源問題等、大きな未解決の問題がある。今まで大国主導の下で、なおざりにされてきた問題が、先鋭的な形で突きつけられたところにテロ事件の最大の意味がある。
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