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第19回経済学部会講演会

第19回
経済学部会
講演会
「脳の新しい科学」 老いから守る為に
高倉 公朋(昭和26年旧高)東京女子医科大学長
平成12年11月20日(月)於 記念会館

脳細胞は再生する

 昔は脳細胞が一度壊れたら治らないと思われていたが、今では再生するというのが常識です。21世紀には、一度やられた神経を回復することができるでしょう。

脳はエネルギーを食うコンピューター

 脳は体と心を指揮している情報センターで、コンピューターと同じような仕組みになっており、脳に神経細胞は一五〇億個位詰っています。コンピューターの素子と電線の役目を神経細胞と神経繊維で行っていて、ソケットに当るものを神経終末と言い、その細胞同士の接触のしかたは科学物質で行っています。脳は電気エネルギーをブドウ糖と酸素で供給しています。常に血液でブドウ糖と酸素を送り込んで脳の細胞の中で電気を発生させて動かす仕組です。

 脳は酸素とブドウ糖を沢山使い全身で使っている酸素の20%、ブドウ糖の25%も使っています。

ボケにならない為に

 痴呆は、先の神経伝達物質が減る為に起こるのです。健康な人の10から1%にも減るのでコンピューターが働かなくなります。

 ボケにならない為には、

①脳の血管を守ること。血圧を測り、上がらないようにする。食事は動脈硬化を起こさないように動物性の脂肪を少くすること。血液が固まらないようにするには魚の脂肪、特に青身の魚が良いです。豆腐や生野菜を多くとり、塩分を減らすことです。

②頭を使っていること。本を読んだり、物を書いたり音楽を聴いたり、観劇や俳句など。

③体を使うこと。特に指先を使うことです。手作業を同時に頭を使うのが良いのです。

④環境を良くする。身の回りを清潔に保つことです。

⑤脳ドックをし、予防する事。

高血圧、糖尿病、肥満は全部治そうと思えば治せます。

 例を上げてみましょう。米国のモーゼスおばあさんという画家は、60才過ぎてから絵を習い始め、90才を過ぎてからも絵を措き続け、しかも米国で結構有名になり、高く売れてます。ルノワールは晩年に脳卒中にかかり、半身不随になりました。しかし、自分の手に絵筆を縛りつけて絵を描き続けました。このような、やる気満々ということが非常に大事なのです。

(文責 南坊・江島)